教授 清水 真
放送大学
三重学習センター所長
私たちの研究室では、窒素、ヨウ素、フッ素、チタン等のヘテロ原子の特徴を抽出し活用したタンデム反応、ワンポット反応など、高効率的有機合成反応の開拓と機能性有機分子構築への展開を行っている。ワンポット多段階反応を基軸として、最近では共役イミン、イミニウム化合物の反応性に着目し、不飽和イミンへの求核付加における選択性の制御と付加中間体を活用するヘテロ環の合成手法の開発、簡便なイミニウム塩の合成手法と官能基選択的付加反応さらにα-イミノエステルの極性転換―イミニウム塩形成反応に関して顕著な成果をあげている。また、四ヨウ化チタンの還元、ヨードチタン化能力、および適度なルイス酸性に着目し、ヨウ化物イオンによる求核置換を経由する反応を中心に四ヨウ化チタンを活用する合成反応を開発している。このようにして開発した合成反応をアルミ電解コンデンサ、導電性ポリマー、液晶などの機能性物質および医薬、香料、農薬など各種生理活性化合物の効率的合成に展開している。
研究室の基本的な方針としては個々の能力に応じて自由に研究・学習できる環境を提供すること、および数多くの実験・深く考察ができる研究テーマを設定し研究を行っている。特にリサーチプロポーザルを重要視し、個々の提案に基づく研究の展開をサポートしている。化合物を合成できたときの達成感と、合成プロセスにおける問題解決のブレークスルーおよび新規反応を見つけたときの至福の一瞬を共有することができれば、学生諸君の今後の人生に必ずプラスに働くものと確信している。
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