アルミ電解コンデンサの高機能化に向けた新規二塩基酸の開発
コンデンサとは、蓄電器の事であり、静電容量により電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子である。用途としては、電子回路に抵抗器やコイルと共に用いられ、整流効果を示し、フィルタとして用いられている。コンデンサにも、様々な種類があり、プラスチックフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、マイカコンデンサ、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ、可変コンデンサなどがあり、中でも電解コンデンサの一種であるアルミ電解コンデンサは、私達の身の回りの電気製品に組み込まれており、その需要度は高く、現在では、高耐電圧、高耐久性、小型化などの性能のさらなる向上が求められている。
アルミ電解コンデンサの内部は、図に示すような構造となっており、陽極用高純度アルミニウム箔の表面に形成される酸化被膜を誘電体とし、陰極用アルミニウム箔、電解液、電解紙から構成され、この中で性能に影響を与えるものは電解液とされている。電解液は純水、エチレングリコール、アンモニアおよび、電解質としてのカルボン酸(二塩基酸)から構成されている。従来の電解質にはセバシン酸や1,6-DDAが用いられている。
当研究テーマではアルミ電解コンデンサの高機能化へ向けて、従来よりも耐熱性、溶解性、耐電圧に優れたカルボン酸の分子設計から合成までの開発を行っている。これまでの研究で既に、耐熱性、溶解性の問題を克服しており、現在では耐電圧の向上、実用的な製品化へ向けた作業行程の簡略化を目指し、様々なサンプルの分子設計、合成検討を行っています。